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Tiny Core Linux

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Tiny Core Linux
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Tiny Core Linux の公式ロゴマーク。
Tiny Core Linux 5 のデスクトップ
プログラミング言語 不明
OSの系統 Linux系?
開発状況 開発中(運営中)
ソースモデル 自由ソフトウェアオープンソース
RTM 無し。
製品出荷版 (GA) 無し。
最新安定版 16.2[1] ウィキデータを編集 / 2025年9月28日 (2か月前)
使用できる言語 2言語日本語化プロジェクトは4.x(正確には4.5.2)で対応終了しています。
言語の一覧
英語・日本語(4.x系のみ)
パッケージ管理 appbrowser (GUI) / tce-load (CLI)
プラットフォーム x86
x86-64
armv7
Raspberry Pi
カーネル種別 モノリシックカーネル
既定のUI BusyBoxFLWM
ライセンス GPL v2 License[2]
ウェブサイト tinycorelinux.net ウィキデータを編集(英語)
サポート状況
サポート中です。
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Tiny Core Linux(タイニー・コア・リナックス)は、Linuxディストリビューションの1つである。

概要

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Tiny Core Linux は、Damn Small Linux の開発者の1人であった Robert Shingledecker が中心となって開発が進められている。

HDDへインストールせずとも、CDUSBメモリから起動が可能なライブディストリビューションである。

開発リーダーの Robert は Tiny Core Linux のプロジェクトにおいて「より小さな Linux」を作ることを標榜しており、Tiny Core Linux 自身(Core)は16MBしかなく、デスクトップ向け Linux としてはもっとも小さい部類に入る。一番大きいパッケージである CorePlus でも163MB。

配布種類

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Version 4 から Tiny Core Linux では下記の種類で配布されている。容量は Version 12.0 のオリジナルによる ISO ファイルのサイズ。

Core
16MB。CUI利用を想定している。
TinyCore
21MB。GUIで動作する最小限のパッケージを備える。有線 LAN によるインターネット接続をサポートしている。
CorePlus
163MB。TinyCore に加えて無線 LAN によるインターネット接続、多数のウインドウマネージャを備える。[3]

システム要件

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最小構成: Core は最低28MBの RAM が必要、Tiny Core を実行するには最低46MBの RAM が必要。最低限の CPU は Intel486 DX

推奨される設定: CPU は Pentium II 以上、RAM は128MBを推奨。

遍歴

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バージョン リリース日 備考
1.0 2010年6月7日 安定版
2.0 2010年7月19日 安定版
3.0 2011年9月25日 安定版
4.0 [4] 2013年9月14日 安定版
5.0.2 2013年10月18日 安定版
6.2 2015年5月3日 安定版
6.3 2015年5月30日 安定版
6.4 2015年9月8日 安定版
7.0 2016年2月23日 安定版
8.0 2017年4月9日 安定版
8.1 2017年9月3日 安定版
8.11 2017年9月7日
8.2 2017年9月22日 安定版
9.0 2018年2月26日 安定版
10.0 2019年1月20日 安定版
11.0 2020年2月9日 安定版
11.1 2020年4月1日 安定版
12.0 2021年2月17日 安定版
13.0 2022年4月25日 安定版
13.1 2022年5月8日 安定版

システム

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Tiny Core Linux では、起動の段階でシステムをメモリへ読み込み、終了の段階でファイルへ保存を行う Frugal を採用している。これにより稼働中のディスクアクセスを少なくし、高速化を実現できるメリットがある。メモリが少ないマシンには Swap 領域やスワップファイルを用いてメモリの代用を行う事が可能になっている。

初期状態ではアプリケーションは簡易なネットワーク機能、X Window System など、必要最小限のものしか入っておらず、Webブラウザワープロソフトなどは一切入っていない。 そのようなアプリケーションは各利用者がインターネットを通じ、Apps というパッケージ検索ブラウザを使ってパッケージファイルをダウンロードし、インストールするようになっている。

GUI 動作は TinyCore の場合、X Window System として独自の Tiny X、ウィンドウマネージャに flwm (初期は JWM) を使っており、OS 自体のサイズの小ささとあいまってその動作も軽快なものとなっている。CorePlus ではウィンドウマネージャとして JWM、IceWM、Flumbox、Hackedbox、Openbox も加わっている。

パッケージファイル形式としてSquashFS圧縮ファイルシステムを用いており、パッケージファイルを解凍せずとも内容物の読み取りができ、システムへのインストールコストが非常に小さい。 このため、一般的なディストリビューションに於けるアプリケーションの初回起動時のストレージからのメモリ読み込みと同様の感覚で、Tiny Core Linuxではインストールが扱われている。 システム起動時には、まず起動可能な最小限のシステムを読み込んでから、それに個々のパッケージをインストールする方法が採用されている。 これにより、アップデートを重ねても過去のパッケージの残骸が蓄積せず、システムの整合性を保つのが簡単になる。 一般的なディストリビューションでこの方法を用いるのは、解凍作業によるストレージへの膨大な書き込みと、それに伴う起動時間の大幅な延長やストレージ寿命の大量消費により、実用的ではない。 しかし、インストールに解凍作業を伴わないTiny Core Linuxでは、そうではない。 アプリケーションのインストール設定は、システム起動段階でインストールが行なわれる「OnBoot」と、アプリケーションランチャーを通じて起動されるまでインストールが遅延される「OnDemand」があり、この2種類を活用してメモリの最適な利用を行う事ができる。

パッケージのアンインストールにはシステムの再起動を要する[1]。 システムの動作を維持したままでのパッケージのアンインストールについては、それに伴うパッケージシステムの肥大化は、小さなシステムを目指すTiny Core Linuxの理念に反すると開発者達は考えている[2]

日本語での状況

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本家公式で国際化をサポートしており[3]、日本語訳も用意されている。 ただし、マルチバイト対応機能や日本語フォントや日本語入力ソフトなどが初期設定ではインストールされないので、各ユーザーが必要に応じてそれらのパッケージをインストールする必要がある。

非公式ながら日本語プロジェクトもいくつか存在している。しかし、日本語版は CorePlus でどれも80MB前後となっている。日本語によるサポートサイトも存在する。しかし、日本語版は4.5.2でアップデートが止まっている。

派生

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公式な派生種として、Tiny Core Linux からGUIを省き、CUIで動作するMicro Core Linuxがある。Micro Core Linux の容量は Tiny Core Linux よりさらに小さく、6MB前後である。

出典

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  1. ^ Tiny Core v16.2” (2025年9月28日). 2025年9月30日閲覧。
  2. ^ http://tinycorelinux.net/faq.html#license
  3. ^ http://tinycorelinux.net/downloads.html
  4. ^ http://forum.tinycorelinux.net/index.php/topic,15889.0.html

関連項目

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外部リンク

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